片想い婚
「祝ってくれるの?」
「もちろんですよ! あ、そんな大層なことはしませんが……お仕事終わって家で誕生日会やりましょう」
私の提案に、蒼一さんがそっと目を細めた。そして優しい笑顔で頷く。
「ありがとう。仕事絶対早く終わらせて帰る」
よかった、と安心する。当日にちゃんとお祝いできるんだ。それだけで私は十分嬉しい。
ニコニコしながらご飯を頬張る。プレゼントも買わなきゃ、何がいいんだろう。男の人って何が欲しいか分からないから……あ、そうだ!
「あの話は変わるんですが蒼一さん。この前会った蓮也覚えてますか?」
私が尋ねると、一瞬彼の箸が止まる。そしてほんの少し間があったと、私の方を見た。
「うん、覚えてるよ」
「今度ご飯行こうって誘われたんですけど、あの、ほら、それってこう、あんまりかな、と思って」
歯切れの悪い言葉をゴニョゴニョと言った。なんだか言いにくかったのだ、『異性と二人で食事はよくないですか、一応私たちは書類上夫婦だから』なんて。
私のぼんやりした言葉を蒼一さんは理解したようだった。味噌汁を飲み込み、小さな声で言った。
「別に行ってきたら」
「え」
「ランチぐらいは大丈夫だよ。気にしないで。彼は昔からの友達だってしってるから」
そう言った蒼一さんは、そのまま食事を続けた。
黙々と食事を続ける彼に倣い私も箸を動かす。きっと蒼一さんはそう言うだろうなと思っていた。最初から私の好きに生活していいんだよって言ってたし。行かないで欲しいなんて言うはずないよね。
ただ……少しだけ寂しいのは、なぜなのかな。
「分かりました。じゃあ今度昼に食事でも行ってきます」
「楽しんでね」
蒼一さんはそれだけ言うと、あとは何も言わなかった。
「もちろんですよ! あ、そんな大層なことはしませんが……お仕事終わって家で誕生日会やりましょう」
私の提案に、蒼一さんがそっと目を細めた。そして優しい笑顔で頷く。
「ありがとう。仕事絶対早く終わらせて帰る」
よかった、と安心する。当日にちゃんとお祝いできるんだ。それだけで私は十分嬉しい。
ニコニコしながらご飯を頬張る。プレゼントも買わなきゃ、何がいいんだろう。男の人って何が欲しいか分からないから……あ、そうだ!
「あの話は変わるんですが蒼一さん。この前会った蓮也覚えてますか?」
私が尋ねると、一瞬彼の箸が止まる。そしてほんの少し間があったと、私の方を見た。
「うん、覚えてるよ」
「今度ご飯行こうって誘われたんですけど、あの、ほら、それってこう、あんまりかな、と思って」
歯切れの悪い言葉をゴニョゴニョと言った。なんだか言いにくかったのだ、『異性と二人で食事はよくないですか、一応私たちは書類上夫婦だから』なんて。
私のぼんやりした言葉を蒼一さんは理解したようだった。味噌汁を飲み込み、小さな声で言った。
「別に行ってきたら」
「え」
「ランチぐらいは大丈夫だよ。気にしないで。彼は昔からの友達だってしってるから」
そう言った蒼一さんは、そのまま食事を続けた。
黙々と食事を続ける彼に倣い私も箸を動かす。きっと蒼一さんはそう言うだろうなと思っていた。最初から私の好きに生活していいんだよって言ってたし。行かないで欲しいなんて言うはずないよね。
ただ……少しだけ寂しいのは、なぜなのかな。
「分かりました。じゃあ今度昼に食事でも行ってきます」
「楽しんでね」
蒼一さんはそれだけ言うと、あとは何も言わなかった。