エリート副操縦士は年下妻を過保護に愛を注ぎたい。



  ***


「……じゃあ、行ってらっしゃい。柚葉ちゃん」

「送ってくれてこちらこそありがとうございました。律さんもお気をつけてお仕事頑張ってください」


 私は大学前に校門前に律さんに送ってもらった。車から降りようとすると「体調悪かったら、ここに連絡して」と律さんに名刺を手渡された。そこには【八神爽斗】と書かれている。


「これは?」

「俺の二番目の兄のだよ。柚葉ちゃんが倒れときいた医者なんだけど……元気な時も一度だけ会ったことあるよ。だから、もしなんかあれば連絡して」


 そう言って彼は私に軽くキスをした。
 

「わ、わかりました。ありがとうございます」


 私は車から降りて車のドアを閉めると少し歩いて大学の敷地内に入ったところで振り向くとまだ車は停まっていて手を振れば律さんも答えて手を振ってくれた。私ももう一度手を振ると校舎の方に向かって歩き出した。



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