SPY
少年は動じることなく物陰に隠れ、倒したマフィアから奪った銃の安全装置を外す。安全装置を外した銃はいつでも人を殺せる完璧な武器だ。

一瞬で物陰から少年は飛び出し、迷うことなくトリガーを引き、放った弾丸を次々相手に命中させていく。少年の体は返り血で染まっていくが、彼は楽しそうに笑うばかり。人の心などないようである。

「最っ高!」

少年はそう言って銃にキスを落とした。



目覚まし時計の音が大きく響く部屋で、少年は目を覚ます。そこはブラジルの熱帯雨林ではなく、殺風景な自分の部屋だった。

「……あの時のライの夢か」

嫌な汗をかいてしまい、身体中がベタついて気持ち悪い。少年ーーーシリウスはシャワーを浴びることにした。

脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入れば目の前には大きな姿見が壁に埋められている。そこに映し出されているのは、十五歳ほどの少年だ。しかし、その体には十五歳の少年には普通ないであろう銃創やナイフで斬られた痕がたくさん残っている。
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