婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そうか。だったら、早急に連絡しよう」

「お願いしますね。カフェのメニューに加えたいから。コーヒーの淹れた方もレクチャーしてもらった方がいいわよね。新鮮なものをと思えば、焙煎もこちらでやった方がいいでしょうし」

「大丈夫かい? 一度にあれこれやると大変ではないか。あまり無理せずに少しずつでいいんじゃないかね」

 わたくしがあれこれ段取りを考えていると、ローレンツの心配そうな声が聞こえた。
 
「大丈夫よ。できることは一気にやらないと好機を逃してしまうわ。チェント卿も返事を待っているでしょうし、他に持っていかれたら困るわ」

 いわば初物だもの。
 当たればカフェの主力メニューになり得るわ。

 カフェにしてもスイーツにしてもお店は腐るほどある。当然、弱肉強食の世界で入れ替わりも激しい。生き残っていくには斬新さも必要よ。

「確かに、シャロンの言う通りだな。ただ、体には十分気をつけてくれ」

「わかったわ」

 ホント、心配性なんだから。でも、旦那様に心配をかけたらいけないわね。休みを取ることも大事ですものね。

「ところで、不思議だったのですけれど、チェント卿はどうしてうちにコーヒーを持ち込んだのかしらね」

 
 
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