エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

芹菜から見たら楓は邪魔者にほかならないが、雅史の秘書は自分だという自負がある。


「石川さん、ひとつ言っておきたいことがある」


雅史のやけに冷たい口調が聞こえてきた。


「なんでしょうか、神楽先生」


芹菜は明るい調子を崩さない。


「私があなたと結婚できないのは、好きな女性がいるからだ」


その言葉にドキッとさせられる。
もしかして――とつい期待してしまう自分が嫌になる。


「……好きな女性? もしかしてそれって……海老沢さんですか」


なぜか芹菜は楓の名前を出した。声のトーンがガラッと変わり、ものすごく冷ややかだ。

楓は、彼女のその声色に恐れを抱きながら、雅史がどう答えるのか息をつめて耳を澄ました。
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