エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

第三病棟のエントランスを使うのは入院患者の家族がほとんど。自動ドアが三つ並ぶ本館とは違い、扉はひとつしかない。

面会時間は午後八時までのため、まだぽつりぽつりと人の出入りがある。

暗くなりはじめた空の下、煌々とした明かりが灯る出入口に立っていると、黒い高級セダンが目の前に停車した。おそらく院長の車だろう。
後部座席の窓が開き、その奥に院長である慎一の顔が見えた。


「乗ってください」


静かな声がかけられる。


「……はい」


ドアを開けて「失礼します」と乗り込むと、車はゆっくり発進した。


「急にお誘いして申し訳ありませんでした」
「あ、いえ」
「お食事でも一緒にどうかと思いましてね」


まさか食事の誘いだとは予想もしていなかった。雅史との今後について警告されるだけだと思っていたから。
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