エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

厭わしい相手とはいえ医師である以上、体調不良で困った様子の人間は突き放せない。


「わかった」


普段から寝不足などで頭痛になりがちのため鎮痛剤なら持っている。キャリーバッグのポケットから錠剤を取り出した。
ドアを開け、それを彼女に差し出す。


「ありがとうございます。それと、さっきはごめんなさい」
「それを飲んで早く寝たほうがいい」
「……はい」


手を出した芹菜だったが、不意にその場にうずくまった。


「おい、どうしたんだ」
「すみません、ちょっと目眩がして」


慣れない国でストレスが溜まったか。目眩を伴う緊張性の頭痛だろう。
仕方なく彼女の腕を掴み、部屋の中へ引き入れてソファに座らせた。


「……ご迷惑をおかけしてすみません」
「ちょっと待ってろ」
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