エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
その言葉で雅史も自分が向かうべき場所を思い出したのか、寄せていた眉根を元の位置に戻した。
「重森さん、その件につきましてはまた改めて。海老沢さん、院長との話が終わるまで部屋で待っていてください」
「は、はい……」
雅史は楓にも言い置き、芹菜を従えて院長室へ向かった。
再びふたりになった英太に向かって頭を下げる。
「仕事があるのでごめんなさい」
英太の誘いには乗れないと暗に含ませた。
「今の彼がそうなんだ」
楓が結婚したいという相手と言いたいのだろう。やはり芳郎から聞かされているようだ。
ここでごまかす意味はない。
「そうです。なので、父が言っていたことは気にしないでください」
英太との結婚はない。