エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
もしかしたら芳郎から、楓と雅史の関係も聞いているかもしれない。
「そうでしたか。私は重森英太と申します」
英太は名乗りながら胸元のポケットから名刺を取り出し、雅史に差し出した。
「プライムシーの副社長でしたか」
神楽総合病院にはプライムシーの医療機器は導入していないが、大手のため社名は当然知っているだろう。
「楓さんは婚約者でもありますので、以後お見知りおきを」
英太の挑発的な言葉で、ふたりの間にさらなる険悪なムードが漂った。
こんなところでいざこざは避けたい。
そんな空気をものともせず、明るい声でその場を遮ったのは芹菜だった。
「院長がお待ちですから行きませんか?」
慎一と約束をしていたのか、芹菜が院長室の方向を軽く指差す。