エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
好きでもない人と一生を添い遂げなくてはならないなんて。
「楓が相手ならね」
「でも私たちは何年も前に終わっています」
別れたばかりの頃はもちろん落ち込んだが、気持ちの整理はしっかりついている。今さら英太とやりなおすのは考えられない。
「そうだね。でもそれはあくまでも過去だ。楓がその気になれば未来は変えられる」
「私はその気にはなりません」
「ハハッ、はっきりフラれると意外と爽快だね。でもまだ再会したばかりだから、じっくり楓の心を俺に向けさせるよ」
そこまで楓に固執する理由がわからない。
このままでは話はお互いに平行線のまま。
「すみませんが仕事に戻ります」
楓は会釈をして今度こそ英太に背を向ける。彼の「連絡するよ」と声には反応しないで、そのまま足を速めた。
雅史の部屋には、先に芹菜が戻っていた。