エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

楓の部屋に寄ってダンボールに詰めた荷物をいくつか車に積み、外で食事をしてから彼のマンションへ到着したのは、八時を回った頃だった。

車中や食事中は、学会での興味深い研究の話や素晴らしい医師との出会いはもちろん、スチュワートが楓に会いたがっていたといった話でもちきり。芹菜の話題がひとつも出ないのがかえって不自然に感じるのは、楓が気にしすぎているのか。
なぜか英太の話も出なかった。

なんとなく心穏やかでいられないまま雅史の部屋にダンボールを運び込んだ。


「それじゃ本題に入ろう」
「……本題?」
「病院にいたプライムシーの重森英太について」


コーヒーを淹れた雅史はリビングのテーブルにカップをふたつ置き、楓のそばに座った。


「全然聞かれないので気にもならないのかと思っていました」
「まさか。聞きたくてうずうずしてたに決まってるだろ。ただ話によっては冷静でいられなくなるかもしれないから我慢してた」
「冷静になれない?」
「ああ。ここなら俺たち以外に誰もいないし、動揺して運転をミスる心配もない」


さぁ話せと、雅史の目が言う。
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