エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
この数カ月が楽しかったから余計に名残惜しい。
雅史の顔も見られなくなる。実家に戻って結婚したら、もう二度と――。
そう考えたら、胸をぎゅっと捻り潰されるような痛みに襲われた。
(先生に会えなくなるなんて……)
実家から離れて、束の間自由を謳歌できればよかった。親の決めた人との結婚が待っている自分には恋なんて二度と必要のないものだったのに。
「海老沢さん? どうかしたのか?」
急に黙り込んでぼんやりしていたからか、雅史が心配そうに声をかけてきた。
「あ、いえ……」
食べ終えたフォンダンショコラの皿にフォークを置き、首を横に軽くひと振りしたが、迫る決別の時を前にして心が悲鳴をあげる。
好きでもない人との結婚が避けられないのなら、せめて……。
「先生と朝まで一緒にいられたらいいのに」