エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
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院長室のドアをノックした雅史は、中からの返事を待ってから入室した。
「お呼びでしょうか」
この病院の院長であり雅史の父でもある神楽慎一は、窓のほうを向いていた椅子をぐるりと回転させて顔を見せた。
年齢の割に白いものが多く混じった髪は秘書の田所同様にオールバック。目鼻立ちの整った顔立ちは、雅史が受け継いだ遺伝子だ。
ゆったりとした所作で立ち上がり、慎一は雅史にソファを勧めた。彼が腰を下ろした真正面に雅史も座る。
「話はほかでもありません」
慎一の丁寧な口調は昔からである。慎一は誰に対してもそうだが、息子相手でもその口調を崩さない。
父親なのに一線を画した、どことなく遠い存在に感じさせるのはそういった姿勢も起因しているだろう。幼い頃からずっとそうだ。
「そろそろ縁談を進めようと思っています」