エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

仕事絡みと考えていたため、一瞬思考が置いてきぼりを食らった。


「……結婚、ですか」


しかしその言葉を聞き、とうとうきたかと身構える。
いつかその話が持ち上がるだろうとは心得ていた。両親がそうだったように、ゆくゆくは父の勧める相手との政略的な結婚があるだろうと。
だからこれまで真剣な恋愛を避け、後腐れのないその場限りの関係を持ってきた。

もしも昨夜の一件がなければ、多少の躊躇いを覚えつつ慎一の提案を受け入れていただろう。しかし今は――。


「院長、そのお話ですが」
「待ったはナシですよ」


縁談はストップしてほしいと言いたかったが、慎一に遮られた。


「すでに水面下で動きはじめています。身辺整理が必要なら、なるべく早く関係を清算しておいてください」


有無を言わさず続ける。つまり女性関係はクリアにしておけと言うのだろう。
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