エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
来客のお茶を出し、頃合いを見計らって遅めのランチに向かう。
「蚊に刺された?」
同じく遅い昼食をとっていた沙月に不可解なことを言われたのは、休憩室でお弁当を広げたときだった。
「蚊、ですか?」
向かいに腰を下ろした沙月に聞き返す。
「うん、このあたり。そろそろ蚊が出てくるシーズンだもんね」
自分の首元を指差して教えられて初めて気づいた。昨夜、雅史につけられた痕だ。
「あ、そ、そうですね」
あやふやに答えながらブラウスの襟を整える。そうしても隠せない位置に付いているようで、「痒そう」と言われてしまった。
「……もしかして、蚊じゃないとか」