エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
沙月に突っ込まれてギクッとする。怪しさ満点の反応をしたため、虫刺されではないと悟ったか。
「いえ、蚊です。痒いなと思ってはいたんですけど」
取り繕いながら箸を持ち、玉子焼きを掴もうとしたが、なぜか掴み損ねる。動揺し過ぎだ。
「ふふ。やっぱりそうなのね」
「〝そう〟ってなにがですか?」
「海老沢さん、彼氏いたんだ」
沙月がニコニコと屈託のない笑みを浮かべる。完全に〝黒〟と踏んでいる顔だ。キスマークの確証を掴んでいる。
「いえ、いません」
そこに嘘はないが、昨夜の情事は事実のため目が盛大に泳ぐ。
「院内の人?」
沙月の詮索は終わらない。テーブルに身を乗り出し、目を輝かせて興味津々。相手を見つけるという気合十分だ。