エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「海老沢さん、あなたは雅史とどういうご関係でしょうか」


それは予想もしない質問だった。

院長が、ふたりの関係を問いただすような情報、たとえばあの一件を知っているとは思えない。ましてや楓の気持ちなど知るはずもないだろう。声も出せずに目を白黒させる。


「院長、いったいなんの話をするつもりですか?」


すかさず雅史が間に割り込んだ。


「なんの話もないですよ。ただふたりの関係をたしかめたいだけです」
「なぜそのような話になるんですか」


雅史の問いかけに楓も心の中で頷く。質問の意図が掴めない。


「先週でしょうか、雅史が海老沢さんと通用口でいるところを見かけましてね。その様子が上司と部下のものとは思えなかったものですから、念のための確認です」


退勤した楓を雅史が追いかけてきたときのことだとピンときた。
< 85 / 322 >

この作品をシェア

pagetop