あやかし戦記 闇の中の流星
イヅナは懐からユウゴが作ってくれた発信器を取り出す。これをイヴァンにつけなければ、アジトの場所がわからない。だが、屋根に登ればイヴァンはすぐに逃げてしまうだろう。

イヅナの考えていることを察したのか、レオナードが「俺らに任せな」とイヅナの肩を軽く叩く。

「ベラの言葉を信じられなくてごめんって気持ちが俺もヴィンセントもあるからさ、イヅナのために何でもしてやりたい」

「レオナード……」

真剣な顔をしたレオナードに、イヅナの胸がギュッと締め付けられるような感覚を覚え、温もりが広がっていく。

ヴィンセントは弓に繋げられた糸を引きちぎり、レオナードを見つめて真剣な顔で頷く。そして二人は一瞬でイヅナのそばから消え、イヴァンの元へ走っていく。

「出てきてくれ!」

「力を貸してほしい」

レオナードとヴィンセントが同時に言うと、立派な立髪を持った獅子と、美しく凛とした目と大きなツノを生やした雄鹿が姿を見せる。二人の式神だ。
< 29 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop