俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 私は香澄との会話を終えて店を出た。
 そろそろ日暮れの時間で夕日が眩しく、目を細める。夕日を見ていると、ヴェネツィアでの玲二とのひとときを思い出してしまう。

 かぶりを振った私はそのままマンションへと帰宅した。
 ガチャリと扉を開け、「ただいま」と告げる。誰もいないと思っていたのに、玄関には革靴が置いてありーー。

 玲二が帰宅している。

 そう理解した途端、頬に熱が灯る。全身の血流が先ほど比べて活発になりだしたような気さえした。


 ここ2ヶ月の間、玲二は自宅へと帰宅していないんじゃないかと思うほど顔を見なかった。ベッドが使われた形跡もなく、心配になる程だ。

 玄関口の脇に置かれたスリッパを履き、リビングへと足を向けると玲二がソファでうたた寝をしていた。

 寝顔は初めて見た。

 思わず近寄ってまじまじとその顔を見つめてしまう。
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