俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 だが、どうしても花宮いつきの娘として売り出されることに我慢ができなかった当時の私はそこを蹴って『月ノ島プロダクション』と芸能界を二分する『サンクチュアリ芸能事務所』へと入所することにした。

 そこからは玲二の言葉通りだ。
 花宮いつきと敵対する事務所では、母の後ろ盾は当てにできず、一女優として成り上がることが必要だった。けれど枕営業なんてものを私は許容できなかった、ただそれだけの話だ。
 そのせいで今ではメディア露出など遠い夢の話となったわけだが。

「……話は分かりました。でも……どうしてあなたの妻にならないといけないんですか? 全く繋がりが見えません」

「ああ、それな。……実の所、最近親父がそろそろ身を固めろって煩くてな。色んな女の見合い写真なんか持ってくるんだ。だが俺は俺が決めた女としか付き合うつもりはないし、ましてや結婚するつもりもねえ。……そこでお前だ」

「……私、ですか?」
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