俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 このまま小さな劇場で演技をし続けるなのならば今のままでもいい。だが、大勢を前に演じるためにはどこか大手のプロダクションに所属しなければならないのだと本当は分かっていた。

 そう考えれば玲二の言う『月ノ宮プロダクション』は芸能事務所の中でも最大手であり、大きな力を持っている。

 ただ、そこには母ーー花宮いつきも所属しているのだ。

「お前、以前はサンクチュアリ芸能事務所に所属していただろ? でもお偉いさんを殴ったせいで、事務所をクビになった」

「…………なんで知ってるんですか」

「俺に分からないことはないっつっただろ。どうせ枕営業でも回されて、怒りのままに殴った……そんなところだろ」

 玲二の言うことは合っていた。
 私には花宮いつきの娘ということで大手事務所からいくつかのスカウトが来ていた。もちろん玲二のところの『月ノ島プロダクション』からも同様に。
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