俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜


「…………そうですか。こはるさんの役者としての心構えは素晴らしいものですね」

 あれ? と、内心思ったのは記者がこれ以上追及してこなかったことだ。もっと根掘り葉掘り聞かれると思っていた私は肩透かしを食らった。

 何故だろうと考えると、一つの答えに行きあたる。

 玲二だ。彼が裏から手を回したのかもしれない。この舞台挨拶が始まる前日の晩に『心配せずとも全てうまく行く』と呟いていたことを思い出した。そのときは別段気にすることもなかったが、今考えればそういうことなのかもしれない。

 無事に舞台挨拶が終わり降壇すると、舞台袖にはまさかの玲二がいた。今日は仕事で遅れると言っており、登壇する前にはここにいなかった。

「ほら? 俺の言った通りになっただろ」

「はい…………権力の使い方の見本というものを見させていただきました」

 玲二は私の言葉に満足そうに微笑むのだった。
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