俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 けれど私は頭を振ってそっぽを向く。
 私にはまだ伝えなければならないこともあったし、できない理由だってあったのだ。

 拒絶の反応を示す私に対し、玲二はどこか不機嫌そうに睨みつけてきた。けれどけして譲らない態度を見せると、大きくため息をついて肩をすくめた。

「……んだよ、俺に抱かれるのは嫌だってか?」

「違うの。…………少し聞いて欲しいことがあって……」

「なんだ? くだらんことだったら承知しないぞ」

 不貞腐れた玲二はソファの背もたれに身体を預け、視線だけをこちらによこしてきた。その態度は完全に拗ねており、二人だけの時に見せるこの子供っぽい姿に呆れと同時に愛おしさが募る。恋は盲目とはよく言ったものだ。
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