俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 男でありながらもその妖艶な姿に心臓が跳ねるが、それを表に出さないようにする。けれどそんな感情も見透かしたような双眸が私を貫く。

「劇団を救ってやる。俺がお前の所属する劇団を買い取り、オーナーになる」
 
 玲二は傲慢に、横柄に、躊躇なく言い切った。思わず呆気に取られた私は目を瞬かせて彼を見つめる。

「いきなりなにをーー」

「お前の所属している劇団、解散するんだってな。たしか、経営難だったか?」

「どうしてそれを……」

 尋ねれば「俺に分からないことはひとつもない」と言い切る。その傲慢さに呆れつつ、内心動揺していた。

 玲二は劇団を救ってくれると言っていた。正直なところ、劇団が解散してしまうと聞いて絶望していた私にとっては最高の話でもあった。
 藁にも縋りたいほどの絶望に身を浸していた私にとって救いの手が舞い降りたのかと一瞬思ったが。
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