初恋は海に還らない




「──都?」



 驚いたのか、目を大きく見開いた洸は、煙草を雑に灰皿に押し付けると、大股でこちらに近づいてくる。そして目の前で立ち止まった。



「お前、どうだったんだよ……大丈夫だったか?」
「……うん」
「ちゃんと話せたか?」
「うん、平気」
「自分の気持ちとかも、全部」
「言えたよ」



 私の言葉を聞いて安心したのか、洸は私の頭を大きな手でくしゃくしゃと撫でた。 



「頑張ったな、都」


 
 洸の掌の熱を感じた瞬間、私は堪らなくなり、その手を取って両手で握った。カサついていて分厚くて、血の通った、温かい手だ。


 ──私、洸のこと、何も知らなかった。



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