初恋は海に還らない
「……私と出会ったあの日」
「都?」
「洸の婚約者さんの命日だったんでしょ?」
「…………は」
「あそこから、落ちたんでしょ?」
祖母が洸を心配し、良かれと思って私に伝えてきた事件は、とても心を抉られるものだった。
洸が塞ぎ込むのも納得出来るほど、他人の私でさえ深い悲しみに襲われるような事故。
真っ直ぐ見つめた洸の表情が、不自然に固まる。そして、誤魔化そうと笑みを作ろうとしているのか、口角が片方だけひくりと上がった。
「……お前、それは」
「悲しい事を掘り返して、ごめんなさい。けど」
私は別に、洸の過去を掘り起こして傷付けたいわけではない。
本当に聞きたいこと、それは──。
「あ、あの日……洸、あそこで何をするつもりだったの」