初恋は海に還らない



 だっておかしい。
 洸は行かなきゃいけない気がしたと言っていた。


 行かなきゃいけないって、あんな時間に、何故?


 私が居なかったらどうしていたの?


 声が震える。こんな予想外れればいい、早く否定してほしい。


 けれど、私が両手で握っていた洸の手が、スルリと抜け落ちた。洸は俯き、どんな表情をしているのか分からない。


 糸がピンと張り詰めたような沈黙。外からは地面にぶつかる大粒の雨の音がパタパタと響き始める。


 そんな中、これまで聞いた中で一番静かで、ハッキリとした洸の声が聞こえた。



「死ぬつもりだった」



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