初恋は海に還らない
洸が振り返る。自嘲気味な笑みを浮かべたその表情に、心を抉られる。
あの夜の、表情が抜け落ちた洸を思い出す。
「死にに行ったのに、目の前で海に落ちるお前を見て放っておけなかった。ムキになってお前を色んなところに連れて行った」
「……洸」
「矛盾してたのは分かってる。けど、一緒に過ごせば過ごすほど、知れば知るほど──」
洸の薄い唇から、消え入りそうな言葉がこぼれ落ちる。
「余計に都には、死んでほしくなくなった」
洸の言葉が、私の心に波紋を立てる。それはどんどん大きくなり、じんじんの私の鼻の奥を熱くした。
自分のしていることと、考えていたことのギャップに、洸は人知れず悩み苦しんだのかもしれない。