伯爵令嬢は無口な婚約者から愛の証を貰いたい
「あ、何か、もしかしたら誰かに、あの・・・お尻を触られたかもしれなくて」

 急にグレンは慌てたように周囲を確認したが、もう犯人と思われるような人物はいなかった。

「行こう」

 グレンは、繋いでいた手をさらに引っ張ると、広場の隅の方の、人のいない路地に入った。

「すまない、注意ができていなかった」
「いえ、私に隙があったのかもしれません」

 本当は、パンツを履いていないから、普段より敏感になっているだけです、とも言えない。

 考え込むような姿勢をしていたグレンは、顔を上げて、周囲をみた。やはり、今日はお祭りの日とあって、混雑している。人の少ないところは、高級な店ぐらいだった。

「よし、あのレストランに行こう」

 グレンは移動用の馬車をみつけると、丘の上のレストランに移動しようと、メイティーラを誘った。

 人混みの中で、パンツを履いていないことがバレたら、大変なことになる。丘の上のレストランであれば、安心できると、メイティーラも同意して二人は移動した。

「君は、丘の上のレストランに行ったことはあるかな」
「はい。以前、友人に誘われて」
「友人・・・家族ではなくて?」
「あ、はい。幼馴染のリーバイです」
「・・・」

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