伯爵令嬢は無口な婚約者から愛の証を貰いたい
 でも、グレンから直接的な愛の言葉や、態度を示されたことはない。メイティーラは、果たしてグレンが自分のことをどう思っているのか、わからず、不安になっていた。

―――やはり、ただの政略結婚の相手なのかしら。

 メイティーラは、グレンのことを想うと悲しい顔をすることが多くなった。

「どうしたの、メイ。浮かない顔をしているね、せっかくの美女が、もったいない。笑顔を僕に見せてよ」

 相変わらず、調子良く話しかけてきたのは、幼馴染のリーバイであった。

 彼は、フィルパラウ伯爵の次男で、メイティーラと同い年ということあり、小さな頃より仲が良かった。今も、学園の同じクラスで学んでいる。お互いもうすぐ卒業となる。

「リーバイ、もうすぐお祭りね。でも、ね・・・」

 小さな子どもの頃は、リーバイと下着を交換したこともある。さすがに物心ついてきた頃は、それはしていない。

「メイは、思ったことをはっきり言った方がいいよ。お祭りを楽しみたいんでしょ。」

「そうね、ところでリーバイは、今年こそは誰かに贈るの?」

 リーバイも18歳と年頃であるが、まだ婚約者は決まっていなかった。次男であることと、本人が恋愛結婚をしたいと望んだからである。彼ほどの容姿と性格であれば、家格さえ合えば選り取り見取りだ。

「贈りたい相手はいるけどね、ちょっと障害があってさ、どうしたものかと思っているところ」

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