幼なじみマリアージュ~偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました~
無力~祐斗side~
俺と結は子供を授かった。
とても喜ばしいコトだけど、今の俺達は素直に喜びを分かち合えなかった。

俺は結が夢に向かって頑張っている姿をずっとそばで見て来た。

なのに、俺が結の夢を妊娠と言う形で中断させてしまった。

「あ…」

俺の目の前に槇村先生が姿を見せた。


「貴方が結さんの夫ですよね…初めまして、奥さんの担当医の槇村奏弥です」
「草壁祐斗です。妻と子供が大変お世話になりました。でも、貴方は確か…東京の…福岡に転勤したんですか?」

「いや、俺は後輩の産科医指導で福岡に一週間の予定で来ただけです。偶々、奥さんの飛行機に乗り合わせて」
「そうですか…」

「奥さんの様子はどうですか?」

「妻は一人になりたいと言っているので病室を出ました」

「奥さんの事で少しお話しましょうか?時間ありますか?」

「あ、はい」

俺一人の力では何も出来なかった。
俺も結の力になりたいとそう思っていた。でも、何をすればいいのかさっぱりわからない。
結の担当医の槇村先生と話をすれば、俺に何ができるか、そのヒントが掴めるかもしれない。
俺は藁に縋る思いで槇村先生の誘いに乗った。

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