幼なじみマリアージュ～偽装のはずが、エリートパイロットの溺愛が開始されました～

＊＊＊＊＊＊＊＊

結とは全身管理の必要がありでICUのベットの上で対面した。
全身麻酔から覚めない結は眠ったままの姿。肌の色に生気がなく、青白かった。
今朝、笑顔で俺を見送ってくれた妻の結。
今は人工呼吸が取り付けられ、医療器具に周りを取り囲まれ、変わり果てた姿。
結の姿を見ていると胸が引き裂かれるように痛んだ。
「結…」
お義母さんが結の姿に涙を零す。

お義父さんも悲痛な顔つきで唇を噛み、娘の姿にショックを受けていた。

＊＊＊＊＊＊＊

カンファレンスルームで結の「緊急帝王切開」の執刀にあたった槇村先生と顔を合わせた。

「結さんのご両親は？」
「・・・二人共ショックを受けて…話が訊けない状態で…俺一人になりました。すいません」

結の病名は『急性妊娠脂肪肝』
妊娠後期に好発し、肝細胞、腎細胞に脂肪沈着を来し、肝不全、腎不全を併発させ、最悪母子と共に死亡させる恐ろしい病。

ハイリスク妊娠出産を多く扱う東亜での死亡率は十パーセントらしい。

槇村先生は詳しく今後の治療と手術について説明してくれた。

俺は三日後に行われるオペの同意書にもサインをした。