社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
それでも(ほいじゃけど)うち、実篤(さねあつ)さんのお顔が一番好きですけぇね? そぉやって不安そうにしてくれるんも、凄く(ぶち)可愛いですし、【凛々しいお顔】とのギャップ萌えでキュンキュンきます」

 どうやら十人中九人は「怖い」と思う実篤(と父・連史郎(れんしろう))の強面顔(こわもてがお)だけど、くるみには〝凛々しく〟見えているらしい。

 そのことにも驚いた実篤だったけれど、間近で真っ直ぐに見つめられて、「やっぱりうちは実篤さんのお顔が一番(いっちばん)大好きです!」と、再度しみじみド・ストレートに告げられた言葉が、実篤の心を鷲掴(わしづか)みにする。

「くるみちゃんっ」

 余りの愛しさに、くるみをギュッと抱きしめようとしたら、「お兄ちゃ〜ん、くるみちゃ〜ん、()よぉ来んちゃーい! みんな腹ペコよぉ〜?」と鏡花(きょうか)が廊下に顔を覗かせて。

 実篤はビクッとして、くるみに伸ばそうとしていた手を万歳するみたいにシュパッと跳ね上げた。

「うっわっ。何なん、その手! 何かイヤラし〜!」

 途端何とも心外な捨て台詞を残して、(ふすま)がピシャリと閉ざされて。

 それを呆然と見つめる羽目になった実篤は、心の底から「くるみちゃんと二人きりが()かったぁー!」と思ったのだった。
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