社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
***

「くるみちゃん、ホンマにうちのお兄ちゃんでええん?」

 実篤(さねあつ)の車から降りてホテルのロビーをくぐりながら。
 前を歩く鏡花(きょうか)が、くるみを振り返る様にしてそう問い掛けてきた。

「――え? 何で?」

 質問の意味が分からなくて、キョトンとした表情で鏡花を見つめ返したら、小さく吐息を落とされる。

「うちのお母さんもじゃけど……人の好みは十人十色とは良く(よぉ)言うたもんじゃね」

 心底感心した風に言われて、くるみはますます混乱するばかり。

「実篤さん、凄い(ぶち)カッコええし、優しいじゃ? 逆にうちには勿体無いくらいええ人なのに」

 ほんの少しムキになって言ったら、鏡花がクスッと笑って。

「カッコええかどうかは置いちょいて、優しいんは私も認める。面倒見もええし……【兄としては】申し分ない優良物件じゃとも思うちょるよ? 私、小さい頃からお兄ちゃんがお兄ちゃんで()かったってよく(よぉ)思いよったけぇ」

 そこまで言って溜め息まじり、「図に乗るけん、面と向かっては絶対に言うちゃらんけどね」と付け加えた鏡花に、「言うちゃげたら喜ぶんに」とボソリと返しながら。
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