社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
(俺には死ぬほど似合(にお)うちょらんけどな……)

 正直実篤(さねあつ)の足にはサイズ的にかなりきつくて、かかとが大幅にスリッパからはみ出して落ちてしまっていた。
 ダイエット用の健康スリッパに、わざとこんな感じに寸足らずな短いデザインのがあったよなぁ……なんて、昔母親がそういうのを履いていたのを思い出しつつ、苦笑と共に自分の足元を見下ろす。


 それにしてもこんな可愛いスリッパを何足も揃えるんは大変じゃろうなぁと思いながら、

「そっ、そう言えば(いやぁ)他には誰が来るん?」

 と、前を歩くくるみの背中に、何の気なしを〝装って〟問いかけた。


 古い日本家屋らしく、広い玄関先の土間をちらりと見回してみたけれど、自分が今脱いだ靴以外に客人のものと(おぼ)しき履物(はきもの)はないように見えて。

 まさか改装とかしてあって、見えない所にシューズクロークでもあるんじゃろうか、と思ってしまった。
< 42 / 419 >

この作品をシェア

pagetop