至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
誰にも言うつもりはないし、京様にもそう伝えたのに……。
信用してもらえなかったのかな。
「もうすぐビルに着く。降りる準備しとけよ」
車が止められたのはなんの変哲もないビルの脇。
剥れかけた看板には「不動産」って文字が並んでいる。
通りはがらんとしていてひと気もなかった。
このビルが、地下で龍泉閣と繋がってる秘密の入り口……。
「車降りた瞬間逃げたりすんなよ。あんた静日の誘いを一回断ってんだから、次はねえぞ」
ぞくっとした。
誘いを断った……。
わたしは学生証を預けて帰っただけのつもりが、相手方から見れば、京様からの誘いを断った無礼極まりない女という認識だったらしい。
「静日にまた、下手な変装で学校行かれちゃあおれも迷惑だしな。面倒なことにならねえように、最大限努力してくれよ」
……逃げたい。
――わたしを見張るため、っていう、生ぬるい処分じゃ済まない気がする、から。