至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-

わたしをまじまじと見つめる目を遮るようにして朱雀院様が前に出た。



「おれのじゃないって……まさか、」

「やめとけやめとけ。探りすぎると京に消されるぞ」

「……、はい。すみません」



早く中に入れと、視線で誘導される。

守ってくれた……のかな。


ほっと安堵して、隠れるようにエレベーターの扉の中へ。

扉が閉まれば、外界からの音は遮断されて静けさに包まれる。


直後。

──テテテテン、テテテテン!


静寂を破ったのはスマホの着信音だった。



「わり、おれだわ。出ていーか?」

「はい、もちろんどうぞっ」

「ボタン押しといて。70階」

「は、はい!」


言われるがまま手を伸ばして「70」をカチリ。

ぐわ、と。

動いた瞬間、足元に重力と浮力を同時に感じる。


ていうか、ていうか70階って……。

さすが街のシンボル。

天にも届きそうなくらい高いことはもちろん知ってたけど、これだけの階数があるビルは人生で1回も見たことない……。
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