至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
朱雀院様は、わたしから少し距離をとって背中を向けた。
「はあ今から? 無理だっての。つーかライン入れてたろ、おれ忙しいんだよ」
通話相手に怪訝そうな声をあげている。
どうしたんだろう。
「いやがちで無理。今、龍泉閣にいんのおれ」
聞き耳を立てるのはよくないけど、同じエレベーター内にいたら嫌でも聞こえてしまう。
朱雀院様の声はもちろんだけど、通話相手の……。
『やだやだ! 今日デートの約束してたじゃんっ、湊くんに会えないとしんじゃう!!』
可愛らしい、女の子の声まで。
え、ええ〜……。
朱雀院様、今日デートの約束してたのっ?
彼女さん……かな。
わたしなんかに付き添ってる場合じゃないじゃん!
わたしが付き添いをお願いしたわけじゃないけど、申し訳なさすぎる……っ。
「簡単にしぬとか言うな。いつか穴埋めしてやるから」
『そう言って穴埋めしてくれたこと1回もないじゃん、信じられるわけない〜っ』