至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
その言い方は……彼女さんでは、なさそう?
よかった。
真凛ちゃんの恋は叶ってほしいし……。
「それなら尚更行ったほうがいいですよ、わたしは大丈夫です」
「おー、まじか。助かる」
朱雀院様の返事と同時、エレベーターが停止。
ス……と扉が開く。
瞬間、ぴり、と張り詰めた空気を感じたのは……気のせいかな。
「ここ出て左に曲がったら、廊下をひたすら真っ直ぐ進め。一番奥の突き当たりに静日の部屋がある」
「わ、わかりました」
「じゃあおれは、ここで。……“気をつけろよ”」
扉が閉まる寸前、そんな言葉を聞いた。
ええっと。
すぐ左に曲がって、ひたすら真っ直ぐ……。
朱雀院様に言われたことを反芻しながら、とりあえず1歩、足を踏み出す。
廊下は暗くて、薄いオレンジの光がぼんやりと空間を照らしているだけ。
長い長い廊下の終わりが見えなかった。
……やっぱり空気が、違う。