至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-

若干息苦しいのは、たぶん、緊張してるからってだけじゃない。

ここは高層ビルの最上階だから、下よりも酸素が薄かったり……するのかな。


いやいや。
高さ数千メートもある山ならわかるけど、ここはあくまで人工ビル。


1階と70階でほんのわずかな差はあれど、人が感じ取れるような違いがあるわけない。


目に見えてる範囲には誰もいないのに、見られてる、気がする。

目だけを動かしてそれとなく周囲を伺えば、ここにもまた、監視カメラの数々。


薄暗い空間になんとも不気味すぎる。

それでもわたしには、この廊下を真っ直ぐ進むっていう選択肢しかない。


暗くてよく見えないのがひとつ。

上品なカーペットが足音を綺麗に吸収してくれるのが一つ。


まるで進んでる気がしない。


龍泉閣って横もこんなに広かったんだ……。
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