【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)

『國井さん! 大丈夫か?!』

『部屋に入ってきたときから顔色が良くなかったので、おそらく疲労か何かでしょう。会長はそのままに。彼女はこのまま医務室に運びます』

 どういうことだ。島田さんの整った顔が目の前にある。わけがわからぬまま、心地よい浮遊感に揺られ、会長の声が扉の向こうに消えていく。

 パタリと扉が締まり、廊下のひんやりした空気にふれたところで、ようやく気づいた。

 お、お姫さま抱っこされてる……?!

『すみ、ません……迷惑かけて、じぶんで歩きます……。ふじもりさんにも、ほうこく、しなきゃ……』

 そう思うのに、どうしよう。クラクラして言葉と体が言うことを聞かない。全身に力が入らない。

 島田さんにも、みんなにも、会長にも……とても迷惑をかけてしまう。

 罪悪感にいっぱいになりながら、グリーンの香りのするスーツに、吸い寄せられるようにして、ふらふらと頭を預けてしまう私。

『はぁ……体力バカの藤森は加減を知らないからな……少し注意しておくか。……あなたも、自分の限界くらい見極めてください。入社したてで夢中になるのはわかりますが……体を壊したら元も子もないでしょう』
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