【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
どうやら会長に、俺が本社へ赴くという情報を与えたのは彼女であるらしい。余計なことを。
「――会長は、なにか?」
受け取った資料を丁寧にファイルに差し込みながら、それとなく要件を伺う
「……聞かなくて何もわかるわよ。あのお節介とはウン十年の付き合いだもの――『島田はいつくる?』なんてウキウキした様子で聞かれたら、“もうひとりの孫”の行末でも案じてるんだろうなぁって――嫌でもわかるわ」
相変わらず、なん枚も上手なひとだ。
幸い周囲に言いふらすような人ではないが、他人に悟られていい気はしない。
「――で、あんたの代理は見つかったの? 少し前に会ったとき、決まってないって泣いてたわよね?」
一通り確認を済ませたあと、室長は黒のスーツに包んだ体を壁に寄せ、思い出したように先日の相談した赴任中の配置について探ってきた。子供扱いはいつものことだ。