魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
「呪文は、世界に存在する万物の根源に語りかける言葉なのよ。魔幻語について知っているわね? どこでも話されていない、成り立ち不明な言語。この言葉でしか語りかけられない」

 マーテルの話は続いた。そして呪文の省略や全く唱えずに魔法を使う仕組みについても言及する。訓練を積めば、魔幻語を使わず意識を根源に直接飛ばすことで魔法を使うことができる。

 とはいえ、呪文が長く複雑な魔法を発動させるのに呪文なしでは難易度が高く、ほぼ不可能である。それでも熟練の魔法使いの中には呪文の一部を省略することに成功している人もいる。

「次に魔法陣ね。これは呪文の代わりになったり、範囲を指定したり、発動するのに必要だったり。魔法陣を用意しておけば、呪文なしで魔法を使えるけど、あらかじめ書いておく必要があるし、凸凹したところではなかなか上手くいかないわ。あと絶級魔法には呪文だけじゃなくて魔法陣を描かなければ使えない魔法もあるのよ」

 ミーナは真剣に聞いていた。マーテルの言葉を一字一句逃すまいと耳を傾けるその姿は、優秀な魔法使いになった者達が辿った道と同じである。

「あとは、杖の話で終わりにしましょう。杖は魔力の補助や魔法の増幅の役割を持っているの。魔力量が多いミーナなら、練習を重ねれば杖なしでも難なく魔法が使えるようになると思うわ」

 マーテルの説明のあと、マグノリア家の人々はそのまま庭のテーブルで午後のティータイムを楽しむ。魔法を使うことで頭や体力を使ったうえ、魔法の知識理解でさらに頭を使った。だからお茶菓子やハーブティーが身体に嬉しい。




 晴れた日の午後。爽やかに吹き抜ける風が花の森(フロシア・シルトゥス)に咲く花を揺らし、花びらが陽光に照らされながら舞っていた。
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