魔法の使い方２ 恋のライバル、現る！？

「Ļiçorlėŋ erøn ŧy(白い部屋への)suŕ shıqųe(招 待 状)。
Hűķlŷa suŕ whïxeeŗ(氷の吹雪)、fíxôņ cérrĭhņ(凍てつく世界)……」

　ミーナが杖を構えながら呪文を唱えると、彼女を中心に同心円を描くように周りが凍りついていった。

　花の森(フロシア・シルトゥス)は真っ白になり、吹き抜ける風もひんやりしている。

「お姉ちゃんすごい！ 初めてのとき、私は半径2mくらいしか凍らなかったよ！ 今でもこんなに広くやるの大変だし」

　ソロルがはしゃぎながら彼女に賞賛を送った。マーテルとパトリスも魔法の出来に驚いたのか、目を見張っている。

「やっぱり魔力量が多いと違うのね。中級魔法を使ってみた感触はどう？」
「初級魔法より使う魔力量が多いから、これはこれで調節が必要そう」

　ミーナは自分の杖を握る手を見つめながら答えた。その感触に戸惑いつつも、自らに秘められていた力を実感し驚いている。これならきっと、マグノリア家の名前に恥じない魔法使いになれる。

「初めてでこれは上出来だよ。練習すれば、ミーナならすぐ簡単に扱えるようになるさ」

　パトリスが微笑みながら語りかけ、彼女の肩に手を置く。彼女ははにかみながらも笑顔で返事をした。

「うん！ 私、頑張る！」




　その後、ミーナは引き続き中級魔法の練習を繰り返す。

　ある程度慣れてきたところで、マーテルが魔法書を持ってきた。

「少し、魔法についての知識をつけておきましょう」

　家族全員で庭に置かれている白い丸テーブルと椅子に腰かける。森の中の、美しい土地でマーテルは古めかしい本を開いた。陽光が紙に反射し、視界がほんのり明るくなる。

「そうね、まずは呪文について話しましょうか」