私が行く、と。
 そう言葉を放ったお姉さんは、彼女の元へとゆっくり歩み寄った。そして一緒に歌い始めたのだ。透き通る神楽の歌声と、力強くそしてどこか淋しい金色のお姉さんの歌声。さらに憎らしいことに、お姉さんも神楽と同じように舞い始めたのだ。
 まるで金色の光が彼女たちを照らしているようだった。空はこんなに暗いのに。そこにだけ光が注いでいる。

 そう、空は暗い。いつから暗くなった? さっきまではあんなに晴れていたじゃないか。ポツリポツリと何かが降ってくる。

 雨――。
 降ってきたのだ、雨が。

 ポツリポツリと降り出した雨が、ザーザーと降るようになるまでそう時間は要さなかった。神楽に駆け寄る団員たち。お姉さんは一人、こちらへゆっくりと戻ってくる。そして屋根のあるところへゆっくりと移動する。

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