突然、その人はスクッと立ちあがると、少年をまじまじと見た。顔を近づけて、少年の瞳を覗き込む。
「お前が供物というわけか」

 その人は苦笑を浮かべていた。
 そして、その人の右手が金色に光ったかと思うと、なぜかその手の中にみずみずしい二つの果物を従えていたのだ。

 一つにその人がクシャリと噛み付き、もう一つを少年に与える。
「食え」
 言い、また彼の隣へと腰を落ち着ける。

「食え、って言ったって。これ、どうしたんですか?」

 この食べ物を一体何処から一体どうやって手に入れたのだろうか。与えられた果物を左手にのせて、それを見つめる。こんなにみずみずしい果物、最近食べたことがあっただろうか。いや、無い。

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