【続】狂暴な彼氏、家では甘えん坊。
「……あーもう……」


そう言うと小さくため息をついた楓くん。


そしてまた私をギュッと抱き締めてくれた。


涙は既にひっこんでていて、何より楓くんが振り向いてくれたことにまた泣きそう。



「もう、帰ろ?」


いつもの優しい声で私にそう言った楓くん。


「で、でも、楓くんと………」


そう言いかけた口を急いでふさいだ。




楓くんと一緒に海に入りたい。




そんなの言えない…………っ


顔を真っ赤に染めてうつむいた。


「どうしたの?美雨?」

「いや、何でもない………」


少し暗い声の私。

そんなのを吹き飛ばすくらい次の楓くんの言葉で明るくなった。

「そういえば、海、入ってなかったね。」

「そ、そうだね……!」

「まぁ、別にいっか、」

「そ、そうだね……」

同じ言葉を言っているのに違う言葉を言っているよう。

がっくりと肩を下げると突然、腕を楓くんに掴まれた。

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