現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

「なにそれ?」

「フランスのことわざです」
そして手を伸ばしてきて、
綺麗の手を握った。

「え・・」
綺麗はその手、指を見た。
ありゃっ・・・これは・・

「指!!・・
腫れているんじゃない?!」

「ああ・・AED取りに行った時、
ドアでぶつけて・・
でも大丈夫・」

綺麗はすぐにこたつから這い出して、氷を取りに冷蔵庫に走った。

製氷皿から氷を取り出し、
ビニール袋に投げ込みながら、
呪文を唱える。

<フランス人の彼氏>
彼氏はフランス人

<こたつは危険地帯>

壁際に置いてあるソファーに座った。
王子と距離を取る作戦だ。

「これで冷やして・・」
氷のビニール袋を、
目の前に立っている王子に
差し出した。

王子は梅酒のせいか、
頬と耳がピンクに染まっている。

綺麗はもう一度呪文を唱える。
<私はおばちゃん・おばちゃん>

王子の体が・・・
ゆらりと、前のめりになった。

「や・・・」
王子の顔が目の前に迫っている。

王子が綺麗の座っている太ももの上にまたがり、両手を壁についている。

座りカベドン状態だ。

「こうしないと逃げる・・」
王子の目が潤んで、妖艶に揺らめく。
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