雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「脱げよ。今すぐ、全部」
いきなり投げつけられた言葉に、息を呑む。
普段は愛嬌があり可愛いと称される進藤の目が眇められると、とたんにその整った顔が冷淡に見えた。
でも、私をまっすぐ見つめる目だけ熱い。
ゾクッとしたのは寒気のせいだけではなかった。
手足は冷え切って痛いほどなのに、進藤の瞳の熱がうつったように胸の奥が熱くなる。
「早く!」
フリーズしてしまった私に苛立ったように進藤は急かした。
(脱ぐ……。そう脱ぐしかない。この状況では)
覚悟を決めて、私は震える手をボタンにかけた。
水を含んで重くなったコートを脱ぎ、セーターを脱ぐ。
進藤が私が脱いだ服をストーブの向こう側に広げてくれる。
ジーンズに手をかけ、躊躇った私を進藤がせせら笑った。
「ふ〜ん、俺を意識してるんだ?」
「してないわよ!」
するわけないでしょ!とさっさとジーンズを脱ぎさった。
濡れた布から解放されて、直接ストーブの熱が肌に当たるとようやく温まる気がした。
いきなり投げつけられた言葉に、息を呑む。
普段は愛嬌があり可愛いと称される進藤の目が眇められると、とたんにその整った顔が冷淡に見えた。
でも、私をまっすぐ見つめる目だけ熱い。
ゾクッとしたのは寒気のせいだけではなかった。
手足は冷え切って痛いほどなのに、進藤の瞳の熱がうつったように胸の奥が熱くなる。
「早く!」
フリーズしてしまった私に苛立ったように進藤は急かした。
(脱ぐ……。そう脱ぐしかない。この状況では)
覚悟を決めて、私は震える手をボタンにかけた。
水を含んで重くなったコートを脱ぎ、セーターを脱ぐ。
進藤が私が脱いだ服をストーブの向こう側に広げてくれる。
ジーンズに手をかけ、躊躇った私を進藤がせせら笑った。
「ふ〜ん、俺を意識してるんだ?」
「してないわよ!」
するわけないでしょ!とさっさとジーンズを脱ぎさった。
濡れた布から解放されて、直接ストーブの熱が肌に当たるとようやく温まる気がした。