ハタチの夜に
高校卒業後、私は地元を離れて進学をした。
そしてたまに帰ってきて会うと、名字でしか呼んでくれなくて。
だから私も。
名字から勝手にあだ名をつけてシロって呼んでいた。
自分から距離をとったくせに。
ここで、ひなって呼ぶなんてずるいなぁ。
「…いいよ、誕生日祝おうよ」
「じゃあ決まりだな」と言うと、私の手を掴み家の玄関のほうへ歩いていく。
…掴んでる、というよりも。
手を繋がれているというのが、正しいかもしれない。